たたき台

去年の今ごろはひたすら準備委員会の文書の「たたき台」を作っていた。「たたき台」はそのあと委員の間で真っ赤に添削されて、発表されるときには元の文章はあいさつ文しか残っていないような時もあった。それではつくる意味がないのかというとそんなことはなくて、物事を考えるときに0から話し合うのと一応形になったものを前提にしているのでは労力も時間もだいぶ違う。
自分の名前が表に出るような仕事じゃないとやりがいを持てない人もいるけど、わたしはけっこう「たたき台をたたかれる」のは好き。骨組みを生かしてもらうとよっしゃ、と思ったし、論理構成の筋が通ってないとかこんなんじゃお話しにならないとかコテンパンに言われるのもすごく勉強になった。
一番大変な時期は事務所にほとんど泊まり込みで作業していた。物事を成し遂げるには水面下にどれだけの見えない時間や作業があるのかを思い知った。石橋さんが女流王位の就位式で言ったことは社交辞令とかじゃなくてほんとに実感だったはず。彼女はこれからどんなに偉くなっても、裏方の苦労に感謝して思いやることは忘れないと思う。

そして最近また「たたき台」を作っている。今度は仕事がらみじゃなくて、住んでる市の公立保育所・幼稚園の民営化や幼保一元化計画に関して、保護者の意見をまとめたり資料を作ったり陳情書案を作ったり。わかりやすく要点をまとめないと忙しく働いてる保護者には伝わらない。あれこれ調べて考えて作った書面を読んで興味を持ってもらったり意見をもらったりすると、去年の経験が生きてるかなと思う。みんなちゃんと感謝してくれるものうれしい。

保育民営化や幼保一元化は調べると単に地方自治体の問題じゃなくて、国の方針とかいろいろ絡んでくる。だから市の人も板挟みの部分もあると思う。個人的には立場や気持ちもわかる部分がある。「今さら幼保一元化不安だとか言われたって計画は何年も前から発表してるしアンケートだってやったのになんでいまさらそんなこと言うんだー動き出す前に言ってくれー自分のことにならないとちゃんと考えないんだからー国から予算が出なくなっちゃったんだから民営化も仕方ないんだよー」とか思ってそう。
でもやっぱり、子どものことを一番に考えてくれないとねえ。

お父さんとお母さんでは物事の捉え方とか受け取り方がずいぶん違ったり、ほかにもいろいろ「なるほどね〜」と思うことが多い。知り合いも増えた。
なんとか卒所までに保護者の関心を高めて、役員だけが大変、っていう状態にはならないように引き継ぎたい。